公的補助による任意予防接種と医療費控除

数年前、ワクチンメーカーの人が水痘ワクチンの値段と、水痘になったときの治療費(抗ウイルス剤を用いた場合)を比較して、「ワクチンのほうがお得です」と言ってました。 私が「東京の多くの地域では小児医療費は全額公費負担なので、ワクチンをしたほうが高くつくのですよ」とお返事したら、その人は絶句してました。

 東京の多くの都市では、中学生までの医療費は全額公費負担です。その一方で、ワクチンなどの予防に関する補助は、区市町村によってかなり違います。

 しかしながら、子どもが水疱瘡になったら保護者(多くの場合は母親ですが)は仕事を休んで看病する必要があるため、その生産損失も決して少なくはありません。こういった損失は、医療費公的補助では賄えまないのです。

 医療費を公費負担するのと、ワクチン代を公費負担するのとでは、どちらが効率がいいのでしょうか?最近小児科学会雑誌で興味深い論文が出ました。

公的補助による任意予防接種と医療費控除の小児医療,地域社会への影響

 大分県竹田市は,予防接種の助成を2006年より水痘,ムンプスワクチンまで,日田市は,医療費控除を2007年に学童まで,周辺2町は中学生まで拡大させた.水痘,ムンプスが減少した竹田市に対し,日田市では麻疹,水痘が多く,また,乳幼児1人当りの小児科外来受診件数,外来医療費は竹田市の3倍を要した.軽症患児の時間外受診も1.6倍に増え,小児科医の過重就労から,時間外診療の縮小を余儀なくされた.

 医療費控除の拡大は,軽症患児の時間外受診を増加させたものの,感染症を減らすにはいたらなかった.一方,予防医学の拡充と啓発は,感染症減少,医療経済効果に繋がった.

 小児医療費が全額公費負担になり見かけの保護者負担は減ったものの医療費は増大し、結果的には国民の負担になります。

 皆さんはどう思いますか?
a:5008 t:5 y:2