山口県小児科医会のビタミンK2シロップ投与

以前ご紹介したビタミンK投与ガイドラインですが、幾つかの地域や病院で生後3ヶ月までの投与が行われています。

 調べた限りでは、関東近辺で日本赤十字社医療センター、東京医科大学病院、同愛記念病院、日本大学病院、昭和大学藤が丘病院などです。区内では杉山産婦人科です(成育医療研究センターはまだ…)。

 山口県では、小児科医会で行なっているようです。これは2009年に起きた山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故とは無関係ではないのでしょうね。

転載してみます。

ビタミンK2シロップ投与スケジュールについて

山口県小児科医会長 金原 洋治

 日本ではビタミンK欠乏性出血症を予防するために、1989年より1.出生時、2.生後一週目(産科退院時)、3.1ヶ月健診受診時の3回、ビタミンK2シロップ1ml(2mg)を経口的に投与しています。ところが、現行の3回投与では、頭蓋内出血を起こす事例があることがわかりました(1994~2004年の間の発症頻度は出生10万人に対して1.5人)。EU諸国の調査によると、日本と同様の3回の投与では、頭蓋内出血の発症が出生10万人に対して0.44人見られた一方で、週一回投与された乳児からは頭蓋内出血は1例も発症していませんでした。

 これらの調査から、日本小児科学会新生児委員会で、ビタミンK2投与についてのガイドライン改定が行われ、新しいガイドラインでは、これまでの3回投与を基本として、選択しとして週一回の投与が付記されました。その内容は、1.一ヶ月健診の時点で人工栄養が主体(おおむね半分以上)の場合には、それ以降のビタミンK2シロップの投与を中止してよい、2.出生時、生後一週間、および一ヶ月健診時の3回投与では、わが国及びEU諸国の調査で乳児ビタミンK欠乏性出血症の報告がある。このような症例の発生を予防するため、出生後3ヶ月までビタミンK2シロップを週一回投与する方法もある、とあります。従来の3回投与と生後1週以降1週間おき投与の両論併記ですが、すでに県内外の多くの施設で1週おき投与が開始されています。

 以上より、山口県小児科医会では以下の方法で、ビタミンK2シロップを投与するスケジュールを推奨します。

1.出生後 産科で投与。
2.生後1週(産科退院時) 産科で投与。
3.生後2週 産科退院時に3.4.、2回分のビタミンK2シロップを渡す。
4.生後3週
5.生後4週(1ヶ月健診) 健診を行う小児科で内服、ないしは渡す。

6.から13.までの8回分は小児科で渡す。

ただし、生後1ヶ月の時点で、人工栄養(ミルク)主体の場合はビタミンK2シロップを渡さなくてもよい。

6.生後5週 7.生後6週 8.生後7週 9.生後8週(2ヶ月)
10.生後9週 11.生後10週 12.生後11週 13.生後12週(3ヶ月)

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