低温やけど

火傷であれ傷であれ、皮膚は再生する力を持っています。

 表面が傷ついても、奥に毛根(毛の生える所)や汗腺(汗がでる所)が残っていれば、そこから皮膚が再生します。
 毛根や汗腺すら残っていない場合は、皮下組織から肉芽組織という赤いぶよぶよした組織が出てきて傷口を覆い、肉芽組織が小さくなるのと同時に周りから皮膚が伸びてきて傷は小さくなります。
 いずれも適度な湿潤環境であれば、傷は治っていきます。詳しくは、創傷治癒の基礎知識をみてください。

 湯たんぽのために低温やけどになった女性がいました。低温やけどは長時間当たってしまうため、傷が深くなりがちです。この方は他院で5ヶ月ほど受診したけど改善せず植皮を薦められたために、当院受診しました。改善の目処が立ってきたので、公表します(本人承諾済みです)。
やけど1

 湿潤療法をしてすぐに肉芽組織が出来て盛り上がっているのがわかります。盛り上がりすぎて過剰肉芽になると治りづらいので、一時的にステロイド軟膏を使用しました。

やけど2

 肉芽組織が落ち着いたあとは、皮膚ができてきました。経過が長いため色素沈着や肥厚性瘢痕が出来ましたが、ドレニゾンテープというステロイドのテープを貼ることで改善しています。今後ドレニゾンテープを小さくしながら貼り続けていく予定です。

 毛根や汗腺がない皮膚なので今までどおりの皮膚というわけには行きませんが、皮膚移植するよりかはマシですね。

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