厚生労働省の行き当たりばったり

昨日(金曜日)は休診日でしたが、ワクチン絡みの報道がありました。

 一つは子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の報道です。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130614/k10015313101000.html

子宮頸がんワクチン 接種呼びかけ中止へ
子宮頸(けい)がんワクチンについて厚生労働省の専門家会議は、「接種のあと原因不明の体中の痛みを訴えるケースが30例以上報告され、回復していない例もある」などとして、積極的に接種を呼びかけるのを、一時中止すべきだという意見をまとめました。

 これはCRPS(複合性局所疼痛症候群)と考えられます。CRPSについてはあとで書こうかと思いますが、採血など痛みを伴う行為に合併するものですので、この考え方だど検診の採血も「積極的に接種を呼びかけるのを、一時中止すべき」なのかもしれません。

 この対応は、平成17年の日本脳炎のワクチン以来のものです。この通達で日本脳炎ワクチン接種が激減しましたが、日本脳炎ウイルス自体が激減したわけでもなく日本脳炎発症が増えました(私見ですが、日本脳炎ワクチンがアレほど危険だど言っていた人たちの多くは、「積極的な勧奨を一時中止」後に日本脳炎患者が増えたことには口をつぐんでますね)。

 神戸大学の岩田健太郎先生のブログも参考になるので、リンクしておきます。ただ、これまでの厚労省のやり方を見ると、スムーズなキャッチアップができるのか疑念が残ります。

HPVワクチン「積極的な勧奨一時中止」を評価する

 HPVワクチンに関しては、おたふく・水痘・B型肝炎に差し置いて定期接種化された理由も、積極的な勧奨一時中止の理由も曖昧です。

 もう一つが風疹の問題です。

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/rubella/

風しんの抗体価が低い人は、麻しんの抗体価も比較的低い傾向が見られることから、風しんの予防接種を受けられる場合は、麻しん対策の観点も考慮し、麻しん風しん混合ワクチン(以下、MRワクチン)を接種されることをお勧めしています。
風しんの単独ワクチンの需要量は例年少ないため、今年度の供給量は限られています。
また、MRワクチンの供給量は年度当初は十分である見通しでしたが、5月以降の任意の予防接種者数の急激な増加により(下記D参照)、現在の接種者数の水準がこのまま続いた場合、今夏以降にMRワクチンが一時的に不足する恐れがでています。
そのため、安定供給の目処がつくまでの間、効果的な先天性風しん症候群の発生の予防及び今後の安定的な定期接種の実施のため、任意の予防接種について、上記のうち(1)、(2)の方が優先して接種を実施できるよう、可能な限りご理解とご協力をお願いします。

注:
 (1) 妊婦の夫、子ども及びその他の同居家族などの、妊婦の周囲の方
 (2) 10代後半から40代の女性(特に、妊娠希望者又は妊娠する可能性の高い方)

 (1)を拡大解釈すれば誰にでも接種できます、というツッコミはさせおき、風疹が流行する自体は去年からわかっていたはずです。風疹ワクチン・MRワクチンの増産をメーカーに指示していなかったのでしょうか?

 厚生労働省の行き当たりばったりとも思える姿勢には、毎度のことながら呆れてしまいます。

 というわけで、当院では当面の間HPVワクチンもMRワクチンも説明した上で接種を続けようと思います。

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