世田谷区の「行事前検査」で陽性が出たら?

注意:これはPCRではなく抗原定性検査についてのお話です。

PCR/抗原定性検査などの説明は、こちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00132.html


 世田谷区では現在小中学生を対象に「抗原定性検査」を行っています。
「随時検査(PCR検査)の補完 」と「行事前検査」というものです。

https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/fukushi/003/005/006/31211/d00188032.html

随時検査の補完
随時検査の申し込みから検体採取、検査結果まである程度の時間を要する場合、随時検査と併せて実施。
行事前検査
普段の学校生活よりも感染症対策が行いづらく、一時的に大人数が集まる、または密になる機会が多くなる校外学習や部活動の大会等の行事前に実施。

気になったことは、

有病率が下がると陽性適中率が下がる

 同じ検査(感度・特異度が同じ)でも有病率が下がると、病気でない人を陽性(偽陽性)とみなしてしまう率が高くなります。
 抗原定性検査で陽性でもその後のPCRで陰性だったという事例も少なからずあります。
 以前当院サイトでも以前解説したことがあります。
https://www.karugamo-cl.jp/index.php?QBlog-20141021-1

修学旅行前の「行事前検査」が陽性でも、保護者は告知しないかもしれない

 症状もなく接触歴もない(事前確率が低い)お子さんが修学旅行に行く直前に自宅で検査して陽性だった場合、修学旅行を楽しみにして待っている子どもを前にして、保護者はどう思うでしょう?
 もともと任意の検査なので検査結果を学校に伝える必要もないし、そもそも再検査をしてもらうために診療所に行く時間もありません。我が子には何も症状がないので、黙って修学旅行に行かせる保護者もいるかも知れませんよね(保護者を責めているのではありません)。

 これまでのところ行事前検査の陽性者報告数はゼロですが、悉皆報告では無い以上、本当のところはわかりません。

 世田谷区が行事前検査を行うのであれば、罹患率が低い場合は陽性適中率も下がるので偽陽性の割合が多くなる(逆に罹患率が高い場合は、陰性適中率が下がり、偽陰性の割合が多くなる)説明については事前に行っているとは思うのですが、実際のところはどうなのでしょう?

 検査結果に振り回されて、無駄な心配や過剰な安心をする保護者やお子さんがいないことを祈るばかりです。