新型コロナワクチンを子どもに接種すべきか?

ついに日本でもオミクロン(変異体)が報告されてきました。今まで「凪」の状態ですが、第6波は来る前提で行動したほうが良さそうです。

 新型コロナワクチンの3回目を接種できる人は、早めに接種しましょう。お願いします。

 5-11歳の新型コロナワクチンが日本でも2022年3月から接種になりそうです(予定よりも遅くなりました)。この件でネットなどで、すぐに接種すべきだ・慎重になるべきだ、と喧々諤々な意見が出ています。

 そんな中BMJ(イギリス医師会雑誌)から興味深い論文が出たので、紹介することにします。

Should children be vaccinated against COVID-19?
https://adc.bmj.com/content/early/2021/11/01/archdischild-2021-323040

要約です(殆どがDeepL訳)。

12歳未満のすべての小児にCOVID-19を接種すべきかどうかについては、現在も議論が続いている。小児における急性COVID-19がもたらすリスクは比較的低く、ワクチン接種と疾病による相対的な害が不明であるため、この年齢層におけるワクチン接種のリスクと利益のバランスはより複雑である。健康な子どもへのワクチン接種の重要な論点の1つは、長期的な影響から子どもを守ることである。その他に考慮すべきことは、地域社会での感染減少、ワクチンの供給、コスト、それに検疫や学校閉鎖やロックダウン措置の回避などといった、集団レベルの要因である。懸念される新しい亜種の出現により、リスクと便益の継続的な再評価が必要である。本総説では,COVID-19ワクチン接種の賛否を論じるのではなく,検討すべき点を概説し,この年齢層におけるCOVID-19ワクチン接種に関する政策決定の複雑さを浮き彫りにするものである。

 確かに例外があるものの小児の新型コロナウイルスの症状というものは少ないので、ワクチンの直接のメリットは多くはないかもしれません。しかし、その分社会的要因(論文で言う集団レベルの要因)が大きなウエイトを占めるようになります。

画像の説明

この図は大きく四象限に分かれており、左側がワクチン賛成・右がワクチン反対、上が個人レベルの話・下が集団レベルの話になります。

少なくとも「自分の子どもは元気だから、ワクチンは不要である」とか「〇〇国ではバンバン接種しているから、日本でも接種しよう!!」といったものでは無いと思います。

著者の一人であるNigel Curtis氏のツイートも引用してみましょう。

私達のレビューでは、12歳未満のすべての健康な小児にCOVID-19を接種すべきかどうかを検討する際のポイントについて概説しています。

小児感染症およびワクチン学の専門家として、私たちは小児ワクチン接種プログラムの大きな利点を認識し、強く支持しています。

我々のレビューでは、この年齢層ではワクチン接種と病気による相対的な害があまり確立されていないため、小児におけるCOVID-19ワクチン接種のリスクと利益のバランスは成人よりも複雑であることが強調されています。

"・・・COVID-19のワクチン接種の賛否を論じるのではなく、この年齢層におけるCOVID-19ワクチン接種に関する政策決定の複雑さを強調するために、考慮すべき点を概説している。"

どのようなワクチンを導入するにしても、重要なのはこの問題(下記)です。
"病気の害を防ぐというワクチンの利点は、ワクチン接種に関連する既知または潜在的なリスクを上回るか?"

米国では、ファイザー社が5-11歳の小児2,268人に10μgを2回投与した試験で、ワクチンの効果が認められたため、5-11歳の小児への接種を進めている。

  • 忍容性が高い
  • 強固な中和抗体反応を誘導した。

COVIDによる直接的なリスクは低いので、12歳未満へのワクチン接種の安全基準は高くする必要がある。

  • COVID19は大多数で無症状または軽度である。
  • ロングCOVID(注意:後遺症)はそれほど流行していないかもしれない。
  • MIS / PIMS-TS(注意:新型コロナ感染後に起こる、川崎病に似た疾患)はまれで、大多数は急速に完全回復する。

12歳未満の小児におけるCOVIDワクチン接種の潜在的な有害性はあまり確立されていない。

  • 小児の免疫反応は異なるため、成人から直接推定することはできない。
  • ファイザー社の試験(n=2,268、5-11歳)では、規模が小さすぎるため、稀な副作用を検出できなかった。

12歳未満へのワクチン接種を推奨する最大の理由は、集団被害と間接的影響を防ぐためかもしれない。

  • 感染を減らすことができる
  • 学校の閉鎖を防ぐ
    基礎疾患や合併症によりCOVIDの重症化リスクが高い人は、ワクチン接種の効果が最も高いと思われる。

 日本では5-11歳の子どもたちへの接種は来年の3月にずれ込みました。それまでに私達は大人の3回目接種をできるだけ急ぐとともに、子どもたちへの接種への議論を深めていく必要があると思います。