古くて新しい話題2:チメロサール
昔チメロサールについてのブログを書きました。
古くて新しい話題:チメロサール
(ブログに出てくるWakefield氏は、正確にはこの論文ではなく後で、チメロサール自閉症説を唱えるようになりました)。
チメロサールは防腐剤として作用します。防腐剤の無いワクチンは開封すればすぐ汚染されてしまいます。対策としては、一回限りの使用にする(インフルエンザワクチンであれば、0.5mlのシリンジタイプ)か、別の防腐剤を使うしかありません。
化血研というワクチン製造会社では、フェノキシエタノールという化粧品などで使われる防腐剤を使うことにしました。しかし、今度はフェノキシエタノール入のインフルワクチンで、アナフィラキシーショック例が多く報告されるようになりました。
調べてみると、フェノキシエタノールがインフルエンザ抗原にたいする抗体をつくり、アナフィラキシーに関与している疑いが強まりました。チメロサール入のインフルエンザワクチンでは、このような現象は起こらず、化血研はインフルエンザワクチンをチメロサール入りに戻したという話です。
化血研のインフルエンザワクチンによるアナフィラキシーの発症について
チメロサールの話は医学的にはすでに決着している問題です(ワクチンは自閉症と関連していない:症例対照研究およびコホート研究の科学的根拠に基づいたメタ解析)。(余談ですが、あれほどチメロサール入りはダメと言っていた某ドクターも、今ではチメロサール入のB型肝炎ワクチンを接種していると自ら明言していました)。チメロサールをなくすことで心理的不安というリスクを回避することはできるかもしれませんが、別の大きなリスクを背負ってしまうことになってしまいました。
「○○が少しでも入っていれば絶対に危険で、○○フリーであれば無条件に安全」というわけでもないのでしょう。
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