赤ちゃんのお尻のくぼみ(dimple)は大丈夫?受診と検査の目安
赤ちゃんのお尻のくぼみ(dimple)は大丈夫?受診と検査の目安
赤ちゃんのお尻のくぼみ(dimple)の多くは心配ありません。ただし、位置や大きさ、周囲の皮膚の状態によっては脊椎エコーが必要です。生後2か月までに相談したい特徴を小児科医が解説します。
赤ちゃんのお尻の割れ目に、小さなくぼみを見つけることがあります。このくぼみは「dimple(ディンプル)」、医学的には「仙尾部皮膚陥凹」などと呼ばれます。
結論からいうと、赤ちゃんのお尻のくぼみのほとんどは、心配のないものです。
ただし、くぼみの位置や大きさ、お尻の割れ目の形によっては、まれに背骨や脊髄の生まれつきの変化が隠れていることがあります。
次のような特徴がある場合は、脊椎エコーを受けやすい生後2か月までに小児科へご相談ください。
お尻の割れ目の外や、割れ目より明らかに上にある
肛門から2.5cm以上離れている
直径が5mm以上ある
深く、底が見えづらい
くぼみが複数ある
お尻の割れ目が曲がっている、左右に分かれている
皮膚の盛り上がりやしこりがある
部分的に毛がまとまって生えている

赤ちゃんのお尻のくぼみは珍しくありません
お尻のくぼみは、赤ちゃんの数%にみられる比較的よくある所見です。
特に、次のようなくぼみは「単純性dimple」と呼ばれ、通常は大きな問題になりません。
お尻の割れ目の中にある
体の中央にある
肛門に近い
小さく、1個だけである
お尻の割れ目がまっすぐである
周囲に毛のかたまり、しこり、血管腫などがない
足の動きや排尿・排便に問題がない
このような小さなくぼみだけであれば、通常は画像検査を必要としません。
大切なのは「深さ」より、位置と周囲の状態です
保護者の方からは、「くぼみが深いのですが大丈夫ですか?」という質問をよく受けます。
もちろん深さも確認しますが、より大切なのは、くぼみがお尻の割れ目のどこにあるかです。
特に、お尻の割れ目より明らかに上にあるくぼみや、体の中心から外れているくぼみは、詳しく確認したほうがよい所見です。
また、くぼみのところでお尻の割れ目が曲がる、二つに分かれるなどの変形も重要です。
生後2か月までに相談してほしい特徴
1.お尻の割れ目の外や上にある
お尻の割れ目の中ではなく、その上や外にあるくぼみは、脊髄の病変を伴う可能性が高くなります。
くぼみそのものだけでなく、お尻の割れ目がどこまで続いているかも確認します。
2.肛門から2.5cm以上離れている
肛門に近い小さなくぼみは、多くの場合、心配ありません。
一方、くぼみが肛門から頭側へ2.5cm以上離れている場合は、画像検査を検討する目安になります。
3.直径が5mm以上ある
直径が5mm以上ある大きなくぼみも、一度診察を受けてほしい特徴です。
ご家庭で正確に測る必要はありません。「大きいかもしれない」と感じたらご相談ください。
4.深く、底が見えづらい
底が見えづらいという理由だけで、脊髄の病気があるとは限りません。
ただし、ご家庭ではくぼみの位置や周囲の皮膚の状態まで判断するのは難しいため、深く見える場合は一度診察を受けることをおすすめします。
5.くぼみが複数ある
くぼみが2個以上ある場合も、単純なくぼみと異なることがあります。
写真だけでは判断しにくいため、実際に診察して位置や形を確認します。
6.お尻の割れ目が曲がっている、左右に分かれている
お尻の割れ目が左右どちらかへ曲がっている、くぼみの部分で途切れている、二つに分かれている場合は、詳しく確認したほうがよい所見です。
7.毛、皮膚の盛り上がり、しこりなどを伴う
次のような皮膚所見を伴う場合も注意が必要です。
一部分だけ毛がまとまって生えている
皮膚が盛り上がっている
やわらかいしこりがある
血管腫や目立つ色素斑を伴う
皮膚から突起が出ている
なお、くぼみから液体や膿が出ている場合は、皮膚の奥へ続く通り道や感染の可能性があります。生後2か月を待たず、早めに受診してください。
なぜ脊髄の検査をすることがあるのですか?
注意が必要なくぼみの一部には、「潜在性二分脊椎」「脊髄脂肪腫」「脊髄係留」など、背骨や脊髄の生まれつきの変化が隠れていることがあります。
成長に伴って脊髄が引っ張られると、将来的に次のような症状が現れることがあります。
足の動かしにくさ
左右の足の形や動きの違い
歩き方の異常
排尿や排便の障害
ただし、注意する特徴があるからといって、必ず病気が見つかるわけではありません。
心配な赤ちゃん全員にMRIを行うのではなく、診察でリスクを判断し、必要な場合に適切な検査へつなげることが大切です。
脊椎エコーは赤ちゃんへの負担が少ない検査です
低月齢の赤ちゃんでは、超音波を使って脊髄の位置や周囲の状態を確認できます。
脊椎エコーには、次のような特徴があります。
放射線を使用しない
痛みがない
通常は鎮静を必要としない
赤ちゃんへの負担が少ない
月齢が進むと背骨の骨化が進み、超音波で脊髄が見えにくくなります。検査できる月齢には施設差がありますが、当院では検査の機会を逃さないため、気になる所見がある場合は生後2か月までの受診をおすすめしています。
診察の結果、検査が必要と判断した場合は、脊椎エコーを行える信頼できる医療機関へご紹介します。
エコーで異常が疑われた場合や、月齢・皮膚所見によって詳しい評価が必要な場合には、MRIが検討されます。
生後2か月を過ぎても、手遅れではありません
生後2か月を過ぎてから、お尻のくぼみに気づくこともあります。
その場合でも、手遅れということではありません。月齢やくぼみの特徴によって、エコーが可能か、MRIなど別の検査が必要かを判断します。
インターネットで調べて不安を抱え続けるより、まずは小児科へご相談ください。
当院の「赤ちゃん健診」でも必ず確認します
赤ちゃん健診は、身長や体重を測るだけの機会ではありません。
当院では、股関節、皮膚、頭の形、発達などとともに、お尻の割れ目やくぼみも必ず確認しています。
保護者の方が気づいていない小さなくぼみが見つかることもあります。反対に、心配して受診されたものの、診察すると検査を必要としない単純なくぼみだった、ということも少なくありません。
必要な場合は、信頼できる医療機関へご紹介します。
当院の乳幼児健診については、予防接種・乳幼児健診のご案内をご覧ください。
よくある質問
お尻のくぼみが深く、底が見えません。病気でしょうか?
底が見えにくいという所見だけでは、病気とは判断できません。くぼみの位置、大きさ、数、お尻の割れ目の形、周囲の皮膚所見を合わせて判断します。
注意する特徴があれば、必ず病気が見つかりますか?
いいえ。これらは詳しく確認したほうがよい「目安」であり、病気の診断ではありません。実際には、検査をしても異常が見つからない赤ちゃんが多くいます。
生後2か月を過ぎていますが、受診したほうがよいですか?
気になる特徴があれば受診してください。生後2か月を過ぎても手遅れではありません。月齢に応じて適切な検査方法を検討します。
脊椎エコーは安全ですか?
超音波を使うため、放射線被ばくはありません。通常は痛みや鎮静も必要なく、赤ちゃんへの負担が少ない検査です。
まとめ
赤ちゃんのお尻のくぼみのほとんどは、心配のないものです。
大切なのは、くぼみの深さだけではありません。次の点を確認します。
お尻の割れ目の中にあるか
肛門からどのくらい離れているか
大きさや数
お尻の割れ目の曲がりや変形
毛、しこり、皮膚の盛り上がりなどを伴うか
気になる特徴がある場合は、脊椎エコーを受けやすい生後2か月までにご相談ください。
当院の赤ちゃん健診でも、お尻の状態を必ず確認しています。検査が必要と判断した場合は、信頼できる医療機関へご紹介します。
参考資料
Gomi A, Oguma H, Furukawa R. Sacrococcygeal dimple: new classification and relationship with spinal lesions. Child’s Nervous System. 2013;29:1641-1645.
この記事を書いた医師
宮原 篤
かるがもクリニック院長/小児科医
2011年から世田谷区・千歳船橋で小児科診療を行っています。一般小児科のほか、予防接種、乳幼児健診、アレルギー、子どもの発達など、日常のさまざまな相談に対応しています。
学会・医会では、予防接種や公衆衛生に関する活動に携わり、保護者向け・医療者向けの書籍や記事も執筆しています。診療で実際によく受ける質問をもとに、保護者の方が判断しやすい、正確で実用的な医療情報を発信しています。
主な所属・役職
VPDの会 理事
東京都医師会予防接種・感染症委員会 副委員長
日本小児科医会 公衆衛生委員会
東京小児科医会 公衆衛生部
主な執筆・専門分野
小児科一般/予防接種/乳幼児健診/アレルギー/子どもの発達

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