赤ちゃんのいちご状血管腫―「そのうち消える」と待つ前に、早めの相談を
赤ちゃんのいちご状血管腫―「そのうち消える」と待つ前に、早めの相談を
赤ちゃんのいちご状血管腫は自然に小さくなりますが、治療が必要な場合もあります。増殖期の早期相談、ヘマンジオルシロップ、専門施設への紹介について、かるがもクリニックが解説します。
赤ちゃんの皮膚に赤いあざが現れ、だんだん大きくなってきた。「自然に消えるから大丈夫」と聞いていても、気になりますよね。
いちご状血管腫(乳児血管腫)は、自然に小さくなる性質があります。しかし、「自然に小さくなること」と「治療せず待ってよいこと」は同じではありません。
治療が必要な場合には、急速に大きくなる「増殖期」の早い段階で対応することが大切です。かるがもクリニックでは、必要な治療の時期を逃さないよう、早期から信頼のおける専門施設へ紹介しています。
いちご状血管腫とは?まず大きくなり、その後ゆっくり小さくなります
いちご状血管腫は、血管の細胞が増えてできる良性の腫瘍です。がんではありません。
生まれたときには目立たず、生後数週間で赤みや盛り上がりが現れることがあります。その後、大きくなる「増殖期」を経て、増大が落ち着き、数年かけて徐々に小さくなる「退縮期」へと進みます。
ただし、退縮しても、赤みや皮膚のたるみ、盛り上がり、傷あとなどが残る場合があります。「小さくなるから、必ず元どおりの皮膚になる」とは限りません。乳児血管腫の経過:マルホ・専門医監修

※自然経過の模式図です。増殖や退縮の時期には個人差があり、将来の大きさや治療効果を予測するものではありません。
「様子を見る」から、必要なお子さんには早期治療へ
以前は自然に小さくなることを期待し、とくに顔以外では、経過観察を選ぶことが多くありました。
現在は、自然に縮んだ後に残る皮膚の変化や、大きくなる途中で起こる問題も考えて対応します。治療の目的は、見た目だけではありません。目の周りでは見え方に、唇では哺乳に影響することがあり、皮膚がただれて痛みや傷あとにつながる場合もあります。
「顔以外だから様子見」ではなく、「この血管腫は、待っていても問題が起きにくいか」を見極めることが大切です。
一方、小さく、問題を起こしにくいものでは、今も経過観察が適切です。その場合も、変化を確認しながら見守ります。米国小児科学会・保護者向け解説
なぜ早めの相談が必要?増殖が速いのは生後早期です
乳児血管腫は、とくに生後1〜3か月に急速に大きくなりやすいことが知られています。表面にあるタイプの多くは、生後5か月ごろまでに増殖の大部分が進みます。ただし、深い部分にあるタイプなどでは、増殖が長く続くこともあります。
問題になりそうな血管腫では、生後1か月ごろまでの早期評価が望ましいとされています。「もう少し大きくなってから考える」と待つことで、必要な治療の時期を逃さないことが重要です。米国小児科学会・診療ガイドライン
早めの相談は、すべての赤ちゃんに薬を始めるためではありません。治療が必要かどうかを、適切な時期に判断するためです。
すでに月齢が進んでいても、「もう遅い」と諦める必要はありません。現在の状態に応じた対応を考えられますので、まずご相談ください。
こんなときは、次の健診を待たずに相談してください
短期間で大きくなったり、厚みが増したりしている
目の周囲、鼻、唇、耳などにある
ただれ、出血、痛みがある
広い範囲にある、または数が多い
飲みにくそう、目が開きにくいなどの影響がある
顔以外でも、大きさや厚み、ただれなどによって治療が必要になることがあります。気づいた時点の写真があれば、変化を確認する参考になります。写真をそろえるために受診を遅らせる必要はありません。米国小児科学会・保護者向け解説
なお、呼吸が苦しそうな場合や、清潔なガーゼで圧迫しても出血が止まらない場合は、通常の予約を待たず、速やかに医療機関を受診してください。
ヘマンジオルシロップなど、治療の選択肢があります
現在は、ヘマンジオルシロップ(成分名:プロプラノロール)という飲み薬があります。原則として、全身治療が必要な増殖期の乳児血管腫に使い、増殖を抑え、縮小を促します。
ただし、すべての血管腫に必要な薬ではありません。低血糖、脈が遅くなる、血圧が下がる、呼吸に影響するなどの副作用に注意し、治療経験のある医師が管理します。
服用する場合は、授乳・食事中または直後に投与するなどの注意が必要です。哺乳や食事が十分に取れないとき、嘔吐しているときは投与せず、治療先の指示に従ってください。PMDA・ヘマンジオル添付文書
病変の状態や時期によっては、レーザーや手術なども選択肢になります。どの治療が適しているかは、専門施設で相談して決めます。
当院では、早い段階から専門施設につなぎます
かるがもクリニックでは、いちご状血管腫の場所、大きさ、厚み、増える速さ、ただれの有無などを確認しています。治療が必要になる可能性がある場合は、漫然と様子を見続けず、早い段階から信頼のおける専門施設へ紹介します。
当院の赤ちゃん健診でも、皮膚のあざや血管腫を確認しています。「生まれたときにはなかった赤いものが大きくなってきた」と感じたら、次の健診を待たずにご相談ください。
慌てて治療を決める必要はありません。でも、相談は先延ばしにしないでください。必要な治療の時期を逃さないよう、一緒に確認していきましょう。
執筆・監修:宮原 篤
かるがもクリニック院長/小児科医
2011年から世田谷区・千歳船橋で小児科診療を行っています。一般小児科のほか、予防接種、乳幼児健診、アレルギー、子どもの発達など、日常のさまざまな相談に対応しています。
学会・医会では、予防接種や公衆衛生に関する活動に携わり、保護者向け・医療者向けの書籍や記事も執筆しています。診療で実際によく受ける質問をもとに、保護者の方が判断しやすい、正確で実用的な医療情報を発信しています。
主な所属・役職
VPDの会 理事
東京都医師会予防接種・感染症委員会 副委員長
日本小児科医会 公衆衛生委員会
東京小児科医会 公衆衛生部
日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
主な執筆・専門分野
小児科一般/予防接種/乳幼児健診/アレルギー/子どもの発達

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