水痘(水ぼうそう)ワクチンの2回目と、先天性水痘症候群の話
水痘ワクチンを2回接種する理由
水痘ワクチンが公費接種でなかった頃、当院では水痘ワクチンを3ヶ月間隔で接種していました。
とある方から「(公的機関)で、生ワクチンの二回目は3-5才で接種するから三ヶ月間隔は短すぎる、と言われました」と問い合わせたがありました。そこで(公的機関)に問い合わせたところ、
「その説明は間違っていますが、(公的機関)の部署は2つあり(ゴニョゴニョ)誰がその説明をしたのかわかりません。ですので、先生が訂正してください」
と即答されました。おそらくは誰が言ったのか分かっていたのでしょう。
時代は変わり、1-2才では水痘ワクチンが公費接種で2回できるようになりました。MRワクチンを含め、生ワクチンを二回接種する理由は、
- 一回だけでは免疫がつかない場合(プライマリーワクチンフェイラーPrimary vaccine failure :PVF)
- 接種後数年で免疫が落ちる場合(セカンダリーワクチンフェイラーSecondary vaccine failure :SVF)
に備えるためです。PVFに対しては比較的短期で、SVFに対しては長期間の間隔で2回めの接種をします。
ワクチンの種類・国や地域の事情によって、公的に推奨する接種間隔は異なります。水痘ワクチンはPVFが多いので、早期に2回めを接種することが一般的です。厚生労働省の記載では、
2回目の接種は、1回目の接種から3月以上経過してから行いますが、標準的には1回目接種後6月から12月まで経過した時期に行うこととなっています。
となっています。世田谷区ではまだ水痘が僅かながらも流行しているため、当院では四種混合ワクチン追加接種(4回め)を接種するときに水痘ワクチン2回めを同時接種しています。水痘流行がなくなれば、接種間隔を6ヶ月にしようと思います。
先天性水痘症候群について
2014年10月から水痘ワクチンが定期接種となりましたが、対象は1-2才に限られています。経過措置として今年の3月まで3-5才も「未接種の場合のみ1回だけ」定期接種になりましたが、それ以外の方は対象ではありません。
今後水痘の流行が抑えられる中、免疫が不十分な人たちが成人になることが予想されます。妊娠中に水痘にかかると、流産や先天性水痘症候群(CVS)と言って胎児に悪い影響が出る場合があります。
今後国として水痘ワクチンのキャッチアップをしていかないと、10-20年後には先天性風疹症候群と同じく、先天性水痘症候群という悲しい報告が増えるかもしれません。
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