便秘っ子の明けない夜はない
最近お子さんの便秘で悩む親御さんが多くなってきました。
4-5日便がなく、排便で苦しんでいる。浣腸液を処方されているけど、浣腸すると出すときにものすごく痛そう。これが毎週続いている。
いつもパンツに便がついているので下痢止めを出されているけど、全然治らない。むしろひどくなっている。
後者は soiling(漏便)といいます。便秘が長引き直腸(肛門手前の腸)に便が溜まってしまうと、便意が麻痺しさらに便秘が悪化します。新しい便はオーバーフローし、便が下着を汚してしまうのです。下痢止めでは却って悪化してしまいます。
子どもは様々な理由で排便を我慢します。「硬い便は痛い」のです。場合によってはトイレにいくことさえも嫌がります。そのためにますます便が硬くなり痛いから排便しないという悪循環に陥ってしまいます。
基本は
- 溜まっている便を出す(disimpaction)
- 痛くない排便
- 年長児にはトイレットトレーニング
です。痛くない排便のためには繊維質の多い食事を心がけ、必要に応じてお薬を使います。定期的な浣腸は痛みを伴うため、できたら避けたいですよね。
ただ、治療を行う前に2つ気をつけたいことが有ります。
一つは便秘ではないのに便秘と診断し治療を開始することです。赤ちゃんは生後1ヶ月ほどで便の回数が少なくなります。まとめて柔らかい便が出て、体重も順調に増えているならば問題ないと思います。便がゴロゴロしていて、出すとき息んで苦しそうならご相談ください。
もう一つが、便秘の理由が別にある(基礎疾患)ことです。下に示す症状があれば、注意した方がいいでしょう(小児慢性機能性便秘診療ガイドラインより)。
- 胎便排泄遅延(生後 24 時間以降)の既往
- 成長障害・体重減少
- 繰り返す嘔吐
- 血便
- 下痢(paradoxical diarrhea)
- 腹部膨満
- 腹部腫瘤
- 肛門の形態・位置異常
- 直腸肛門指診の異常
- 脊髄疾患を示唆する神経所見と仙骨部皮膚所見
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