デング熱再びーー子どもの虫よけにはイカリジンを
世田谷区赤堤でデング熱の発生がありました。
海外で感染し帰国後、発症したとのことです。日本で蚊に刺されたという報告もあり、世田谷区が近辺の駆除に乗り出しています。
デング熱を媒介する「動物」は?
一般的にヒトスジシマカ Aedes albopictus の行動半径は約50m~100mと比較的狭いです。ヒトスジシマカ以外にも感染源となる動物がいます。その動物から人に直接感染することは通常ありませんが、ヒトスジシマカを介して感染します。
その動物の移動距離は場合によっては数百キロあり、予測不可能なこともあります。潜伏期は3-14日ほどですが、不顕性感染(発症しなくても感染源になりうる)もあり、外見だけではデング熱に感染しているかを見極めるのは困難です。
その動物はヒト Homo sapiensです。そう、人間です。人間を駆除するわけには行かないので、別の対策が必要です。3年ほど前に書いた、デング熱についてもご覧ください。
蚊に刺されないようにすること
まずは蚊に刺されない対策が必要です。暑いかもしれませんが、長袖・長ズボンも有効です。とくに茂みに入るときはマダニに気をつけましょう(厚生労働省:ダニ媒介感染症)。
あとは虫除けスプレーです。忌避剤を巡る環境は以前ブログに書いた3年前と変りました。一つはディート(DEET)の濃度が12%から30%にアップしたことです。一般的にディートは濃度が濃いほど有効時間が長きなります。
赤ちゃんにはイカリジン
もう一つは新しい忌避剤イカリジン(Icaridin)です。イカリジンは子どもにも使用制限(日本)はなく、また肌にも優しいです。濃度が15%のもあります。
(追記)
イカリジンは15%がベターですが、もしなければ5%でもいいです。使わないよりかは、遥かにマシです。
ディートの安全性について
以前も書きましたが、普通に使う分にはディートは口に入らない限り生後2ヶ月以降の赤ちゃんが使っても危険だというエビデンスはありません。しかし、厚労省が使用制限をかけている以上、おおっぴらに使っていいよ、とも言えないです…
問題はデング熱だけではない
ヒトスジシマカが媒介する病原体はデングウイルスだけではありません。チクングニアウイルス・ジカウイルス等も媒介します(他にもあります)。
チクングニアウイルスは日本では馴染みが無いかもしれませんが、関節痛が長引くことがあり、デング熱よりも辛さを訴える人がいます。
ジカウイルス感染症(必ずしも発熱しないこともあり、ジカ熱とは言いません)、は妊婦がかかると胎児が小頭症になることで問題になりました。去年はアメリカフロリダやシンガポールでも感染者が報告されています。人や物流の行き来が普通に行われている以上、日本で感染者が出ない保証は何処にもありません。
帰国後も蚊に刺されない対策を
海外から帰国後、明らかな感染兆候はなくても体内に各種ウイルスがいて、蚊などを介して他者に感染させる可能性はあります。基本的な対策として、蚊に刺されない対策はしっかりとしましょう。
また、ジカウイルス感染症流行地域に滞在中または帰国後少なくとも半年以内で性交渉する場合は、コンドームを使った安全な性交渉を強くお勧めします。
期間、対策などは今後の知見で変わってくることはあります。国の通知などにも注意を払うようにしてください。