コロナ禍でも、GoToワクチン(VPDを予防しよう)
また、新型コロナウイルスが増えてきました。
この春の、緊急事態宣言のときは、当院でもかなり受診者が減りました。小児科のばあい感染者が減り受診者が減るのは、ある程度仕方がありません。しかし、ワクチン・乳児健診で受診者が減っていたのは心配でした。
案の定、本来乳児健診で早期発見すべき疾患があとで見つかったこともあります。
また、感染症自体が無くなったわけではないので、接種率が減れば、VPD(ワクチンで防げる病気)は蔓延していきます。
日本小児感染症学会で興味深い発表がありました。
「コロナウイルス感染症拡大に伴う医療機関受診抑制による重症百日咳乳児例」というものです。
一部を紹介します。
症例は4ヶ月女児。COVID-19の流行があり、予防接種のための受診を控えていた。咳嗽、喘鳴、多呼吸を主訴に第11病日に救急外来を受診し、SpO2 91%(room air)あり、入院後も多呼吸が持続するため第12病日に当院PICUへ転院となった。転院後、喀痰 multiplex PCR検査で百日咳と診断した。10日間の人工呼吸管理を要した。
百日咳ってどういうの?と知りたい人は動画をご覧ください。
日本では生後三ヶ月になれば、百日咳のワクチン(四種混合)が公費で接種できます。特別な理由がない限り、速やかに接種しましょう。
WHOもコロナ流行でも、VPDの流行を憂慮し、可能な限り予防接種体制を維持し、延期した場合でもキャッチアップ接種を行うことを推奨しています。日本小児科学会も、感染症対策としての個別接種を行うことを推奨しています。
上記の発表でテイクホームメッセージは、このように締めくくっています。
VPD流行阻止のために予防接種を啓発するとともに安全に行うための対策が必要である。
一般的にお子さんにとって新型コロナウイルスの感染による重症化のリスクは低く、それよりもワクチン接種を逃したことによる他の感染症による重症化のリスクが高いと思われます。
確かに今年はインフルエンザなど減りましたがゼロではなく、他の病気も少し流行しているのです。
当院でもコロナ中でも、学校や家族内で百日咳だった事例はいくつかあります(幸いにも赤ちゃんの感染はありませんでした)。
11月18日現在、東京都では百日咳は256例(全国では2,823例)、風しんは27例(全国では97例)あります(東京都感染症週報:47週)。確かにコロナも気がかりですが、百日咳や風しん他のVPDも決して対岸の火事ではないのです。
当院でも、VPD対策および感染症対策を行っています。
冬休み(12月31-1月11日)の間も、予防接種は極力開けておきます。
ワクチンデビュー、初回4種混合接種(百日咳です)、1歳からのワクチン(MRワクチン)を優先的に予約を受け付けます。
ネット予約では入れないので、お手数ですが営業時間内に当院までご連絡ください(今後LINEなどで予約できるようにします)。
参考文献
日本小児科学会:小児のコロナウイルス感染症2019(COVID-19)に関する医学的知見の現状
https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=342