リスク認知とは?
注:タイトル変えました(2020年3月6日)
先日とある勉強会に行ってきました。
その時ある方から、「新型インフルエンザや放射能などではみんな大騒ぎしたけれど、どうして先天性風疹症候群のお子さんが44人(以上)いる現状で、大ニュースにならないのだろう?」という意見がありました。
それに対して私は「新型インフルエンザや放射能は得体のしれないところから来るから不安になるけれど、風疹はあくまで土着のものなので関心が薄いのではないか。あれほど戦々恐々としていた新型インフルエンザも、国内に入れば普通のインフルエンザと思うようになってしまった」と答えました。
これは何も私が最初に言い出したことはではありません。以前「ガセネタデスシ」で紹介した、「ゼロリスク社会」の罠、という本にも載っています。その中でハーバード大リスク解析センターのリスク認知因子10箇条を紹介しています。
一部を引用してみましょう。
- 1 恐怖心
恐怖を感じる事態の方に、人は強くリスクを感じます。…(通り魔・ストーカーに遭う確率は交通事故よりも低いのに、リスクを感じる)
- 2 制御可能性
何らかの形で自分がコントロールできるリスクは、そう大きく感じませんが、いっさいコントロール不能のリスクは、非常に大きく感じられます。…
- 3 自然か人工か
(事例:生牡蠣の食あたりvs. 人工食品添加物)
- 4 選択可能性
自分で選び取ったリスクは、他人に押し付けられたリスクよりも低く感じます。…
- 5 子どもの関与
自分の子どもに関することは、リスクを過大に感じます。…
- 6 新しいリスク
今まで見知ったものについては、人はリスクを低く見積もりがちですが、知らないことについては非常に怖く感じるものです。…
- 7 意識と関心
また、大きく報道されているほどリスクを強く感じるということもあります。…
- 8 自分に起こるか
当然ではありますが、自分は自分の関係者に累が及ぶ可能性が少しでも感じられると、リスク認知は急激に高まります。…
- 9 リスクとベネフィット(利益)のバランス
これも当たり前ですが、リスクに対して何らかの利益があれば、人はそのリスクを実際よりも低めに感じます。何の利益もない、あるいははっきりしないとなれば、誰もそのリスクを取りたがりません。…
- 10 信頼
我々をリスクにさらす相手(国や公共機関など)や、リスクについて説明する者に信用が置けなければ、リスクの感じ方は高まります。…
他の方も簡潔にまとめてあるので、ご覧になって下さい。「リスク認知因子」10個の「リスクを強く感じさせるファクター」
作者は上記10箇条に加えて、確証バイアスというのを加えています。
人間、好きなものについては都合の良い解釈をしたがりますし、嫌いなものについては悪い評価を下したがります。
簡単にいえば「好き嫌い」ですね。「嫌いなものは、間違っている!!(リスクがある!!)」という心理です。もう少し突っ込めば「リスクがあるから、嫌いなんだ!!」という心理とも表裏一体かもしれません。
気になった方は、是非とも買ってみてください。
光文社 (2012-09-14)
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