百日咳と伝染性紅斑(りんご病)-思いやりマスクが大事
最近、子どもの間で感染症が非常に増加しています。特に気になるのが飛沫感染による感染症です。
ここでは、代表的な疾患として百日咳と伝染性紅斑(りんご病)について解説します。
百日咳
百日咳は、非常にしつこい咳が特徴の感染症です。咳だけで済む場合もありますが、重症化すると肋骨骨折を引き起こすことがあります。また、乳児では無呼吸発作や脳炎、脳症を伴い、時には命に関わることもあります。
今年は東京都内でも百日咳の報告が増加しています。
特に世田谷区での報告が多い状況ですが、これは他の地区で調査が進んでいないだけで、実際には他地域でも多く発生している可能性があります。
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/pertussis/pertussis/
患者の年齢分布を見ると、小学生から中学生に多く、学校内での感染が疑われます。予防策として、自費接種にはなりますが、小学校入学前にDPT/IPVワクチンの追加接種を推奨しています。
伝染性紅斑
伝染性紅斑は、一般的に"りんご病"と呼ばれる感染症です。主な症状は発疹(頬や手足)や関節痛ですが、妊婦が感染すると胎児に影響を及ぼすことがあります。胎児水腫を引き起こし、流産や死産のリスクが高まり、生まれた場合でも非常に厳しい状態になることがあります。
こちらも非常に増えています。
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/fifth-disease/fifth-disease/
注意すべき点として、発疹が出た時点ではすでに感染力がなくなっています。つまり、無症状の時期に飛沫感染を引き起こす可能性があるということです。
マスクの重要性
百日咳も伝染性紅斑も飛沫感染で広がるため、マスクの着用が感染予防に有効です(完全に防ぐことはできませんが、リスクを大幅に低減できます)。
症状が出てからマスクをするのでは遅い場合があります。百日咳の初期症状は軽い風邪程度であり、伝染性紅斑に至っては無症状の時期に感染を広げる可能性があります。そのため、流行時期には弱い立場の人々を守るために、ユニバーサルマスク(思いやりマスク)の着用が重要です。
ここでは百日咳と伝染性紅斑のみ挙げましたが、飛沫感染を起こす病気は、インフルエンザ・新型コロナ・マイコプラズマ・RSウイルス・おたふく・溶連菌など、多岐にわたります。
子どもたちを感染症から守るため、そして社会全体で感染拡大を防ぐために、改めて感染予防策の徹底を呼びかけたいと思います。